いつかの私というフィクション

あまりに個人的すぎて、下痢のような文章を垂れ流します。

琥珀色の街、上海蟹の朝

今日、引越会社からダンボールが届いた。
これで荷造りも本格的にはじめていかなければいけない。不動産屋にはもう手続きを済ませてきたし、バイト先には辞める日を伝えてきたから、あとは水道、電気、ガス会社に電話をして、あと転出届とかか。他のことを考えている暇がないほど、やることはいっぱいある。そのほうが今は助かるのだけど。とにかく今ははやくバイトをやめてひとりになりたい。誰にも会わずにすむようにしたい。





ひっさびさにCDを買った。
なにげなく聴いたSuchmosというバンドが気に入ってほとんど衝動的にAmazonで注文した。三枚買った。アナログ人間なのでAmazonでなにかを買うのは初めてで、その便利さには驚いた。頼んだ2日後には近くのコンビニで受け取れるし、値段も店で買うのとほぼ同じ。これなら本や漫画もAmazonで買えばいいじゃないかと思った。これまでは本屋を応援する、応援したいという気持ちもありわざわざ出かけて買いにいっていたけど、ゴーゴリ事件以来、べつにもう本屋なくてもいいや、というすこし投げやりな気持ちになっている。古本屋がなくなるのは困るけど、メジャーな本しか置いていない本屋へわざわざ行く必要性が僕にはなくなってきている。自分の知らない本と出会う場所でもある本屋としての魅力が最近ではまったく感じられないし、買うものが決まっている場合、いくつもの店を探し回って徒労に終わるくらいならネットで注文したほうが絶対いいはずだ。届くまで2日ほど待たなければいけないけど、本屋で取り寄せる場合は最低でも1週間くらいかかることを考えれば、もう、本屋いらなくね?という気持ちになるのもわかってほしい。だから「イムリ」もAmazonで買った。面白い。スターウォーズみたい。





ジェイン・オースティン原作の高慢と偏見をアレンジ(?)した映画「高慢と偏見とゾンビ」が是非とも観たい。

僕はジェイン・オースティンの小説が大好きだ。
ジェイン・オースティンの小説はぜんぶで6つある。その内の5つを読んでしまい、残るは処女作である「ノーサンガー・アビー」のみ。読んでいないのはもうあとひとつしかないと思うとすこし悲しい。べつに再読すればいい話だけど、まったく未知の世界へ入っていける初読の快感はもう得られないのだから、やはり悲しい。だからわざと「ノーサンガー・アビー」だけ読まずに残してあるのだ。そうすれば、まだ読んでいないオースティン作品があるのだという希望がずっと保てられるから。
登場人物たちを愛情深く辛辣に包み込むあの彼女独特のユーモア、平凡な題材にも関わらずページを手繰るのをやめられなくなる軽妙な語り口。なにを語り、なにを語らないか、どこまでを語り、どこまでを語らないか、その微妙なラインを見極めるセンスがオースティンは神かがっている。18世紀に書かれた小説だから、イギリスの貴族階級という現在ではすこし差別的な思想や風習も多少含まれていて(イギリスではいまでも当たり前なのだろうか?)、時々面喰らうところもあるけど、それでもオースティンの小説は健全な精神に満ちていて、そんじょそこらのミステリー小説よりも刺激的な読書体験ができる。まあ、オースティンの小説は恋愛小説なんだけれどね。そんなのは関係ない。
オースティンの小説でどれがいちばん好きかと聞かれたらものすごく困る。(誰も聞いてくれないけど)
たぶん「高慢と偏見」はいちばん人気があるんじゃないだろうか。主人公のエリザベス・ベネットはその欠点も含めて多くの女性が求める完璧な女性像って感じだし、相手のダーシーもツンデレで金持ちでかっこいいし。「マンスフィールド・パーク」は主人公のファニーがおとなしいせいか、小説としても全体的に淡々としていて、(といってもオースティンにしてはという意味で)物語の面白さとしては他の作品と比べると多少見劣りするものの、オースティンの思想がいちばん全面にでている小説でもあり、含蓄のある文章が随所にでてきて違った意味で面白い。「分別と多感」は性格のまったく違う姉妹が主人公で、このふたりのでこぼこっぷりが魅力的だ。個人的に好きなのは妹マリアンが恋人からの手紙を待っているところに玄関のチャイムが鳴り、郵便配達人だと思って駆けつけたところ、いけ好かない人物の来訪だったのでものすごくキレるところと、姉エリナーとジェニングズ夫人との勘違いだろう。ジェニングズ夫人の印象が最初と最後で変わるのもリアリティがあって好きだ。「エマ」はどこかミステリー小説のような趣がある。それにオースティン持ち前の皮肉がいちばん効いているのもこの小説だろう。こんな賢くて愚かな主人公を魅力的に描けるのもオースティンならではという感じ。ナイトリーがイケメンすぎる。「説得」は一番短いのが難点。でも短いからこそ無駄がないし、最初に読んだオースティン作品なので思い入れがある。また読みたくなってきたな……。やはり一番なんて決められるわけがない。みんな違ってみんないい。それに尽きる。



映画「高慢と偏見とゾンビ」は、そんなオースティンの田園恋愛小説「高慢と偏見」にゾンビ要素を取り入れた映画らしく、ジェイン・オースティンファンからも大変好評らしいのでぜひ映画館で観たいと思っている。
今はオースティンとはだいぶかけ離れたメルヴィル「白鯨」を読んでいる。これものっけからすごく混沌としていて面白い。当分はこれでどうにか生きていけそうだ。



では、また。