ハッピーじゃないエンドでも面白い映画みたいな人生を

あまりに個人的すぎて、下痢のような文章を垂れ流します。

僕らにしかわからないし

ねぇ、くだらない話をしよう赤いまぶたが また熱くならないようにシリアスな展開なんて 僕らには似合わないって下品な笑いで 朝陽をむかえよう 君の悲しんでいる顔を 僕はもう忘れてしまいそうだよ 深夜のカラオケボックス アップルパイ 彼のスクーターにつ…

金玉踏めば夏の終わり

下の娘が生まれて半年が経とうとしている。 娘たちを基準にして時間の経過を考えてしまうのを、自然に受け入れてしまっている自分に今気づき、驚いている。 ふたりの娘は元気すぎるくらい元気だ。元気なのはいいことだ。病気がちになるくらいなら、元気すぎ…

夏と秋の中間地点

10月。 陽射しの熱は衰えず、空気だけが冷たく乾いている。静かな風の感触が心地いい。夜には、秋の涼しさだけが残る。今年の夏は、蝉だけが騒がしかった。いつまでたっても、旅行には行けない。 最近また、小説を書いている。毎日、妻に頼んでひとりの時間…

去年の

8月。 暑さが充満している。ただじっとしているだけでも息苦しい熱を体がまとっているように感じる。アイスクリームみたいに溶けそうだ。いっそのこと溶けてしまったほうが楽なんじゃないかと思うくらい、年々ひどくなる夏の猛暑に嫌気がさしている。 娘が生…

サルトルは読んでない

1月。一昨年になった胃腸炎が再発しないか不安になりながら年末年始を過ごした。 忘れもしない、あれは1月5日、彼女(今の妻)との交際5ヶ月記念日だった。イルミネーションを見に行き、そこで彼女に内緒で買ったペアリングをプレゼントした。彼女は涙ぐんで…

望まれる太陽

12月。寒い。外にいると手足が岩のように硬まり、全身が震えはじめる。歯がカチカチ鳴り、肩が上下に細かく揺れる。なんでもない日常のなかでも身体は生きるためにささいな活動を行なっている。何十年と繰り返され馴れきったこの行為は、ふだん意識すらしな…

道化の素顔

11月。外でじっとしていると、冷たい空気が手足を通ってじわじわと体の奥へ浸透していく感じがする。まだ一瞬で体温を奪われる寒さにはほど遠いけど、それでもやっぱり寒いと感じる時間が長くなった。 家の小さな庭に生える雑草の伸びが遅くなり、金木犀の香…

カロを目指して(掌編)

ここでは雲が地面に浮いている。標高2,000mにたどり着いたとき、ひたすら茶色い斜面を登ることだけを考え、歩いていた僕らは自然と足を止めた。積層雲だ。アキラは寝ぼけながら僕らの足元から空のずっと向こうまで広がっている雲を力なく指さしてむにゃむに…

ペルディードの時間【小説】

家だと思ったら公園だった。 「ねえ、まだ着かないの?」 ずっといじっているスマホから顔を上げて、助手席に座る娘がトゲのある声で訊ねた。 彼は曖昧な笑顔でごまかして「たしかこのへんだったはず…」とひとりごとのようにつぶやいた。 せまいこの道を曲が…

アンナの結婚生活

9月になった。日中は相変わらず暑いけど、日が沈みはじめると重くよどんでいる湿気もなくなって、さらりとした静かな風が吹いている。夜の闇のなかにゆっくり染み込んでいくような、音もなく草の葉を揺らす風。 彼女が妻になって4カ月が経った。ふたりで生活…

2月くらいの日記

暖かくなってきた。1月に味わった一日中肌を刺すような寒さも緩んで、朝と夜以外はほのぼのした陽気になってきた。 小春日和という言葉が好きだ。『春』という文字が入っているのに冬の季語なのがいいし、小春日和から連想される、暖かい光が溢れるなかで風…

日常のなかの非日常

降るのか降らないのかはっきりしない雨の日が続いて、呼応するように自身の生活もメリハリのないものになっている。 10月。台風が直撃した。 伊勢湾台風並みの強さだったらしい。深夜に暴風域に入ると家が停電した。朝になって雨戸を開けると穏やかな光が目…

夜風にまじる記憶

年を取れば日々の変化に鈍感になると思っていた。 若い頃、といっても現代の寿命から考えれば若い年代に属するけれど、「まだ若いから」という理由で失敗や挫折が許されなくなった年齢になった今、若かったころの自分が「年を重ねていくたび、いつかこういう…

月まで

今夜はどうしても眠れない。 月の光だけをたよりに歩く坂道。夜の木漏れ日。空気が淡い緑色になるのは、満月の夜だけ。波の音、対岸のネオンライト。探してるのは夢?それとも愛?君の未来は明るい?僕の表情は固い。退屈な日々は麻薬だ。無気力な目で彼らを…

日々なんとなく

台風一過の朝、出勤していつものように会社の階段をのぼっていたら唐突に秋の匂いがして、なにかほかの感情が生まれるよりもまずいきなりすぎて面食らった。 そのときは9月に入って間もなかった。 例年どおりならまだ残暑が厳しい時期で、カレンダーの絵や季…

紫陽花の葉にカタツムリはいない

気づけばもう6月。暖かさが暑さに変わり、言うほどにはそんなに降らない梅雨が始まろうとしている。梅雨は別に好きじゃないし、嫌いでもない。紫陽花は少し好きだ。点描画っぽくて、雨の季節に咲くのに陽の光が似合うところがいい。 自分の部屋の網戸が破け…

最近の出来事。

また風邪をひいた。 1回目は今月のはじめころ、友人宅で映画鑑賞をしたすぐ後のことだった。連日の夜更かしが原因だったのだと思う。喉の違和感が痛みに変わり、あぁこれはマズイやつだと思う間もなく悪化。母の小言を背中に聞きながら病院へ行った。 幸い、…

覚え書。

メモ。 いつかの幸福が現在を苦しめるなんてこと知っていたらきっともっと楽なほうを選んでた。なくなる幸福なんていらなかった。幻想に生きてずっと憧れを抱いたまま死んでいけばよかった。死んでいきたかった。もっとちゃんと嘘をついてほしかった。と友人…

複製された男VS複製されたい男

年が明けて早々、友人の家でちょっとした映画鑑賞会を開いた。開いたといっても成り行きでそうなったというか、「映画が観たい」と僕が言い出し、早速その日のうちにゲオで借りた映画をふたつ観た。 年が明けて間もない日からホラー映画を観るのもどうなのか…

琥珀色の街、上海蟹の朝

今日、引越会社からダンボールが届いた。 これで荷造りも本格的にはじめていかなければいけない。不動産屋にはもう手続きを済ませてきたし、バイト先には辞める日を伝えてきたから、あとは水道、電気、ガス会社に電話をして、あと転出届とかか。他のことを考…

「外套」や「鼻」を書いたロシアの小説家といえば誰?

また台風が来るらしい。 前回の台風のときはバイト終わりがちょうど雨が激しく降っている時間帯で、傘をさしていたにも関わらず腕や靴やスボンの裾なんかがびしょ濡れになった記憶がある。台風が過ぎ去ったあと、てっきり晴れると思っていた翌朝はどんよりと…

ファンではあることには間違いない。

今週の月曜日に「君の名は。」を観てきた。 祝日だということをすっかり忘れていたというか知らなくて、どうせ大丈夫だろうけど念のためと前日に空席状況を確認してみたらナイトシアター以外は1、2席しか空いてなくてびっくりした。 これは当日に直接チケ…

恵みの夜

墓地の塀を見上げると、牡丹桜の梢が塀を乗り越えて道まではみでている。 初夏には瑞々しく艶のあった緑の葉も夏の喧騒を過ぎた今では埃や排気ガスで薄汚れて、虫の食べた小さな穴が所々に開いている。けれど、夜、外灯に上から照らされて透ける葉脈たちは相…

帰ってきたウルトラマン

新幹線が東へと向かうにつれて、雲は厚くなり色も黒ずんで窓の外は見るからに不穏な空気をはらんでいた。 新富士駅に到着したあたりで窓に水滴がひとつふたつとつきはじめて、新幹線が加速するにつれ、いくつかは不格好な線を残しながら、またその他のいくつ…

水曜どうでしょうに関する新たな?仮説 後編

第3夜、大泉さんがお決まりの台詞「ダメ人間!」でミスターを罵倒してから、豊頃町へと出発する。 次のカットで、運転は大泉さんからミスターにかわった。 車に乗り込んで出発するまでのこの間、4人にどんな話し合いがあったのか、もちろん僕にはわからな…

物語作家の矜持と覚悟

5月の初々しい暖かさがだんだんと蒸し暑さに変わってきたと思ったら、梅雨になっていた。 毎年、梅雨というわりにはあんまり雨が降らないので拍子抜けする覚えがあるけれど、今年はどうもそうならないような気がする。梅雨入り宣言がされてから、ほとんど毎…

古くさい詩みたいなもの。

雨が響く軒下で、 虹を待つ少年 雲の切れ間には 天使が住んでるって話。 カエルの大合唱 のかわりに、都会では 遅延のホームで こだまする舌打ち。 ビルの谷間には 黒猫が捨てられてるって噂。 放課後の射撃ごっこ「バン!バン!」 流れ弾が水たまりに、世界…

水曜どうでしょうに関する新たな?仮説 前編

みなさんは、水曜どうでしょうを観たことはあるだろうか。 僕は大好きで、誇張ではなくれっきとした事実として毎日観ている。晩ごはんを食べるときは決まって水曜どうでしょうを流している。食物を咀嚼しながら同時に水曜どうでしょうも視覚を介して体内へ取…

I want to 初夏!

今日は最高にいい天気だった。空には雲ひとつなく、涼しげに流れる清らかな小川のように澄んだ青色が広がっていた。中天にさしかかった太陽の光を遮るものはなにもなく、どこに目を向けても眩しかった。澄んだ青空を背景に建ち並ぶビルも、車も歩行者もまば…

風邪ひいた。

とにかくなにか書きたいので書く。書きたい。なんでもいいから内容を気にせずに文章を構成していきたい。ここに書く文章のほとんどは推敲したことないけど、今回はそんななけなしの推敲も一切しない。衝動、なんて格好いいものではなく、行き当たりばったり…